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第173回 脂肪組織の腫瘤性疾患について その1



脂肪組織の腫瘤性疾患についてその1

今回は新しい知見というわけではありませんが、通常あまり取り上げられない脂肪組織が腫瘤を形成する疾患について、思いつくものを2-3回に分けてご紹介したいと思います。ただし、個人的な見解であることをご承知下さい。次回以降は少し腫瘍専門家向けの内容になるかもしれません。

・脂肪腫
・浸潤性脂肪腫
・筋間脂肪腫
・筋間浸潤性脂肪腫
・脂肪成分の多い線維付属器異形成症
・脂肪腫と肥満細胞腫の複合腫瘍
・特発性び漫性脂肪腫症
・二次的な脂肪組織の腫脹
・会陰部の脂肪腫
・腰部の脂肪沈着
・非定型脂肪腫

1.脂肪腫
真の腫瘍か否かという問題はありますが、分類上では脂肪組織の良性腫瘍ということになります。通常は経過観察で問題ありませんが、希にとても大型化するものもあります。増大傾向を伴うもの、機能障害を伴うものなどは、摘出の対象になります。
皮下などに形成された場合には、腫瘍細胞と周囲の正常脂肪細胞の区別ができないため、通常マージン評価は行いません。実質的にはマージン(+)になることが大部分と思われますが、その場合であっても再発を起こす事は希です。そういったこともあり、弊社ではあえてマージン評価はしておりません。

2.浸潤性脂肪腫
脂肪腫のバリエーションで、筋組織等を巻き込みながら増殖するタイプの腫瘍です。組織学的には良性腫瘍でありながら、この浸潤性の性質が問題となるため、局所的には悪性疾患のように対処すべきものになります。教科書的には典型例が掲載されているため、局所侵襲性が強く安楽死になることもあるように記されていますが、そのような症例は希と考えられます。臨床的に脂肪腫と思われ、組織診断が浸潤性脂肪腫であったという程度の症例は、あまり再発を起こさないのかも知れません。実際、再発病変が切除されて再検査となるといったことはほとんど経験しません。ただし、特に肉眼的にも浸潤が顕著であるような症例は要注意です。典型例ではレントゲンにおいても筋組織とそこに浸潤する脂肪デンシティの状態が把握できる症例もあります。また、脂肪腫に比べ増大傾向が速い症例は少なくありません。触診所見は重要ですが、単に筋膜に固着しているだけの脂肪腫との鑑別は、しばしば難しいかもしれません。コア生検では浸潤性の所見が得られない可能性が大であり、診断のための情報としては限定的です。

3.筋間脂肪腫
名称の通り筋肉と筋肉の間に形成される脂肪腫です。筋間に存在する間は進行しなければ気付かれ難いかも知れません。大腿部などの腫脹や歩きにくそうといった症状で見つかります。筋間から皮下に腫瘍が脱出した場合には、急速に形成された皮下腫瘤として認識されることもあります。

4.筋間浸潤性脂肪腫
こう知った呼ばれ方があるわけではありませんが、筋間脂肪腫の浸潤性脂肪腫バージョンといったものは少なくありませんので、あえて書いてみました。筋間という発生部位から鈍性剥離で切除するということになりますが、一部固着して切除が困難といったことは希ではありません。そのような部位では腫瘍細胞が筋組織に浸潤し、霜降り肉のようになっていることがあります。逆に考えれば、筋間腫瘤の大部分を切除し、それが脂肪腫と診断されても、切除困難な部位があり、そこが採取できなかったとすれば、組織診断と実際の疾患名が一致しないということになります。

続く

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